【MC】
岩垣:新メンバーの岩垣です。 村内:新メンバーの村内です。 岩垣:新メンバーと言ってもアレですけどね、架空ですけどね。 村内:言うなよ。言うなよ。 岩垣:作詞形式は大抵が歌謡曲とかそう言うレトロ的なそれにインスパイアされた物をやって居ります。 そう言う様なね、僕ら架空の存在にも作詞特徴みたいなのが有るって訳でして。そんな捻くれた考えを持ってるんですねウチのテライは。 結構適当なくせにね。 村内:言うなよ。言うなよ。撤回しなよ。 岩垣:じゃぁ、えっと、あんまり待たせると水槽さん見に来て下さった人達に悪いので、ぱぱっとね。 やっつけでね。 村内:そう言うのマジやめなよ、最低だよ本当に。 岩垣:では、此処から少し、言いたい事を言わせていただくよ! 村内:もう結構問題発言してるよー。やめろよマジでー。
【無駄カルテ】
最近どうです? 暖房の風が突き刺さる、とか。 電気の光が目に入る、とか。 そう言う痛みは見られませんか?
痛みを痛みと思えないのなら、きっと麻痺して居るのでしょう。
具合はどうです? 恋を夢見て詩人に成る、とか。 やたらと病んだ歌人に成る、とか。 そう言う奇行は見られませんか?
奇行を奇行と思えないのなら、脳も死際なのでしょう。
何処かで拾った恋を集めて、 自分の気持ちを作り上げ、 幸せな空気独り占め。 無駄な事だと解かって居るのに。 それとも解かって居ないのだろうか。 今でも君の頭の中には、 超特急とか時計とか、 雪や心や思い出が―――?
無意味の羅列が有るんだね。 それはそう言う病気なんだよ。 諦めるしか他は無い。 どうでも良いよね。 はい、次の方。
気分はどうです? 自分に対して寒気がする、とか。 鏡を見付けて吐気がする、とか。 そう言う気持ちは全く、有りません?
気持ちを気持ちと思えないのなら、誠のキチガイなのでしょう。
何処かで拾った文句を歌って、 自分の気持ちに仕立て上げ、 敬意は最早狂気にと、 変わって居る事、気付いて居るのに。 それとも気付いて居ないのだろうか。 今でも君の頭の中には、 夜とか烏の鳴き声とか、 影や朧や運命が―――?
何処かで作った言葉を読み上げ、 自分の体は何処かに隠し、 君だけに見える安息の地へ。 無意味で無駄で、変わる事は無い。 それに気付かない事が病気。 今でも君の頭の中には、 アレとかアレとかアレレとか、 アレレアレレレアレアレレ―――――?
お薬、出しときます。
【冷蔵庫で。】
モノクロの交差点を急ぎすぎて、 いつも、社会は怪我を負う。 誠実な言葉に頼りすぎて、 いつも、社会は、そのまま、留まる。
淡々とした脆い道。 そこを歩けば未来は無い。 人工的な電気は有るが、 街を照らす様な光は―――。
扉を開ければいつも、冷気に覆われて。 冷え切った肉の塊が、隙間無く詰まっている。 冷蔵庫の中でいつも、社会は腐ってて。 凍え死んだあの人は、異臭を放っている。
腐ったものは捨てましょう。 肉塊に冷たすぎる空間を。 壊死したのは誰でしょう。 横たわる死体に、霜柱が降りてる。
扉を開ければいつも、冷気が顔を出し、 凍りついた無数の目玉が、浮ついた光を睨んでる。 冷蔵庫の中でいつも、みんなは腐ってて。 それを、ただ傍観する僕は、異臭に気づかない。
腐ったものは捨てましょう。 肉塊に冷たすぎる空間を。 壊死したのは誰でしょう。 あの、横たわる死体は、誰でしょう―――?
冷蔵庫で。 暗く、狭く、 冷えて、凍える、 冷蔵庫で。
僕は、腐って、そのまま、凍って―――――。
【街明り】
都会はいつも通り賑やかで、 僕の事など知る由も無い様で。 急な坂道を転げ落ちそうなスピードで、 駆けて行く自転車に轢かれそうです。
街灯は、今日も僕に「死ね」と囁いて。
気持ちの悪いざわめきと、人の波。 同じ表情をして、固まって居ます。 息遣いが聞こえる様な近い距離で、 感じる空気は、真冬のそれです。
街灯は、今日も僕に「死ね」と五月蠅くて。
嗚呼、 僕はこの街が、 堪らなく、大好きです。 道路や電柱に頭をぶつけて死にたいくらいです。 嗚呼、 僕はこの街が、 堪らなく、快適です。 死に向かう僕には、寒いくらいが丁度良いのです。
夜もこの街は明るく爽やかで、 立ったままの僕を、冷たく包みます。 光にすがる虫の羽音の煩わしさは、 人の波と、同じそれです。
街灯は、その中でにやにや笑って居て。
嗚呼、 今日もこの街は、 堪らなく、退屈です。 何を感じる事も無く、通り過ぎるのです。 嗚呼、 そしてこの街は、 堪らなく、素敵です。 優しい光は、結局、電球の塊に過ぎないのに。
ぽつんと佇む僕の耳に、 不意に聞こえて来た心地の良い歌声は、 昨日と同じ音色に乗せて、 偽りの優しさばかりを、 歌って居て。
素敵に、退屈で、快適で、大好きな、この街に、 素敵に、退屈で、快適で、大好きな、この音色。 素敵に、退屈で、快適で、大好きな、その声は、 素敵に、退屈で、快適で、大好きな、この街に相応しいのでしょう。
嗚呼、 僕はこの街が、 堪らなく、大好きです。 僕を見ようとしない人波が気持ち良いです。 嗚呼、 僕はこの街が、 堪らなく、大好きです。 聳え立つコンクリートの壁が、格好良いですね。 嗚呼、 僕はこの街が、 堪らなく、大好きです。 純愛と言う見世物を広場で見られるし。 嗚呼、 僕はこの街が、 堪らなく、大好きです。 友情と言う映画も、とても面白いです。 嗚呼、 僕はこの街が、 堪らなく、大好きです。 かけられる言葉はマニュアル通りで御上手です。 嗚呼、 僕はこの街が、 堪らなく、大好きです。 嘘が盛り沢山のこれは、何と言う料理ですか? 嗚呼、 僕はこの街が、 堪らなく、大好きです。 今流行りのそのファッションは、いつ飽きられますか? 嗚呼、 僕はこの街が、 堪らなく、大好きです。 何で皆さん、理由も無く笑って居られるのですか? 嗚呼、 僕はこの街が、 堪らなく、大好きです。 僕に出来ない事をやってのけるなんて素敵です。
嗚呼、
僕はこの街が、
堪らなく、大好きです。
ずっとこのままで居て下さいね―――。
街灯は、
【寸劇】
岩垣:なぁ、聞いて呉れるか。 俺はさ、此の世は、此の世は無意味過ぎると思うんだ。 村内:先生に話しかける時は敬語で喋りなさい。 岩垣:だって考えてもみろよ。 世界は、俺が何を言っても聞いちゃ呉れない。 俺の事なんて知ろうとも思わず、いっつも無意味な事ばかりやってるんだ。 村内:敬語で喋りなさいって言ってんでしょうが。 岩垣:でも、別に俺の事を知って欲しいわけじゃないんだ。 其れに、世界がやっている事が全部無意味って訳でも無いと思うんだよ。 だけど、だけどね、先生。此が大事なんだよ。 村内:だから、敬語で喋れって言ってんだろうが此の野郎。 岩垣:一番大事なのはね、俺や、他の人の事を「知ろうとする」事だと思うんだよ。 人を知ろうとしない、って事は、今迄やってた事を全部無意味にするって訳。 此の辺が難しいんだけど、先生はどう思う?先生。 村内:とりあえず敬語で喋ろうとしろよ。腹立つわー。 岩垣:おっぱい。 村内:えっ、おっぱい?! 岩垣:だからさ先生。 俺は此から死にに行くけど、俺はまだ、何も知ってもらってないんだ。 俺には本当はまだ、何かしたい事がある、だとか。 俺には本当はまだ、行きたい所がある、だとか。 ………………………………………………………………………俺は本当は、誰それが好き………、だとか。 村内:岩垣……………。 岩垣:世界には「知ろうとして欲しい」んだ。 そういう………、俺みたいな人間が居るって事をさ。 村内:岩垣、お前………………先生の事を。 岩垣:違う! |